子ども療養支援協会の目指すもの
~ 子どもの人権が守られた小児医療の実現を~
1.子ども療養支援協会とは
子ども療養支援協会は、子どもの人権に配慮した小児医療の実現に向け、療養生活を送る子どもの“心のケア” (プレパレーションや治癒的な遊びなど)を担う「子ども療養支援士」の養成制度の確立・普及を推進することを目指して、平成23年12月に設立されました。
当協会は、「子ども療養支援士」の養成制度の確立を軸に、社会的認知の拡大を通じて同制度の普及に努め、実際の小児医療現場で応用・実践していく研究活動を積極的に展開しています。「子ども療養支援士」を1病棟に1名配置、全国に計3,000名を配置することをめざし、子どもの人権に配慮した小児医療の実現に努めています。
2.当協会設立までの経緯
平成20年8月、日本で活動しているチャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)及びホスピタル・プレイ・スペシャリスト(HPS)の有志が東京に集まりました。当初は、CLSとHPSが互いの職種を知るための会合でしたが、その背景には日本においてその職種としての立場が確立されていないCLS・HPSの専門性について共に考え、そして日本の小児医療において更にニーズを拡大させたいという想いがありました。さらに、何度か会合を重ねる中で、日本での新たな職種の養成を目指した当協会の設立に向けての具体的な検討が課題となっていったのです。
そうした議論を経て、平成23年3月27日、子ども療養支援協会設立準備会を開催しました。後に諮問委員となられる専門家の方々からもご意見をいただく中で、新たな職種を養成することで一致した見解が得られました。一方、その実現のためには、多職種との連携に関連して、その職務内容の専門性について明確にすること、その職務に対応した「子ども療養支援士」に求められる要件を定めること、その要件を満たすための具体的教育内容を検討することが課題として残されました。
これらの課題を解決すべく、CLS・HPS有志(現子ども療養支援協会教育委員)が月に1回のペースで実行委員会を行い、検討を重ねました。また、医療保育専門士の養成を担う医療保育学会へのヒアリングと協力のお願い、臨床心理士、小児看護などの専門家からの意見聴取、難病子ども支援全国ネットワークや、ボランティア養成を行う日本グッドトイ委員会の対しての協力依頼等、“新しい職種の養成”という一つの目標に向かって現在の協会組織および教育システムの骨格を構築して参りました。
こうして迎えた平成23年12月4日、現教育委員、諮問委員など総勢60名の参集のもと子ども療養支援協会設立総会が開かれるとともに、翌年4月より養成コースを開始することが決まりました。
3.私たちの目指すもの
当協会の設立には日本のCLS・HPSの有志、その活動の重要性を認め日本でも同様の職種の養成を望む看護師、医師、心理士、保育士、弁護士などの専門家、そして療養を必要とする子どもたちとその家族など、子どもの療養生活の改善に努めてきた様々な方々によって支えられ、そして設立に至りました。
子ども療養支援協会は、今後も多職種による専門的見地から、より多角的に“子ども”について学び、 医療の中で子どもを“adovocate”するスキルを習得するために必要な養成プログラムの構築について検討を重ね、実行していきます。
その結果の一つ一つが集結し子ども主体の医療に繋がること、それが私たちの最大の理念であることを常に忘れることなく。